母が残してくれたもの
私の母は、85歳で3年前に亡くなりました。
亡くなる6か月前に突然私をとても誉めてくれました。
母からほとんど誉められた記憶がなかった私は『なんでそんなに褒めるの?死んでしまうみたい?!』と止めたほどです。
私は、母に誉められて育たなかったからこそ「ほめて育てる!」を自分の教室の指針としてきました。
誉めるのが下手だった母ですが、スキンシップはいつもしてくれました。
幼少期はよく抱きしめられていた覚えがあります。また、孫たちの顔やのどにたくさんキスをしていたのも見ました。
子育てをしながら働く私に代わって、週に2回乳児期から娘を預かってくれました。
迎えに行った際には、部屋の中からいつも母が娘に手遊び歌を歌う声がしました。
そして、娘の「キャッキャ」という笑い声が聞こえてきました。
幼児教育を長い間学んできた私でも、孫の世話をする様子に先人の知恵をよく感じたものです。
早いものであれから30年が過ぎ、娘は既に30歳です。
1番好きな人と結婚をし、心豊かに暮らしています。
人が最も幸せを感じられるのは、本来愛する人と時間を共有しているときではないでしょうか。
そう感じられる心を育めるのが0歳から3歳位の時期だと思います。
しかし、この時期にスキンシップが足りず、
テレビに子守をさせ母親が携帯を触ってばかりいる中で育った子ども達が凶悪な事件を起こし続けるのではと懸念しています。
母は乳児期に孫たちへラッパや笛を与えていました。乳児は、ラッパや笛を吹くことで息を吸い込むことや舌の使い方を自然に覚えるのです。現在 言葉の出てこない乳幼児を指導している私は、今更ながらその意味が良く分かりました。
こうした先人の知恵をママ達に伝えさせて頂く際、いつも心で『お母さん、ありがとう!』とつぶやいています。